関連資格「健康運動看護師」
看護師が生活習慣病クリニックで働く場合、看護師資格以外の資格は必要ありません。しかし、専門資格を取得すればより生活習慣病への理解を深め、患者の健康を助けることが可能となります。ここでは、関連資格として「健康運動看護師」を紹介します。
健康を維持するための運動
健康増進法や介護保険法には国民が自分の健康を自己管理する責任について明記されています。不規則・不摂生な生活習慣が原因で発症する生活習慣病の一次予防や、介護予防の手段として推奨されています。また、健康維持だけでなく、自己実現や生きがいなどの面でも運動は効果を発揮します。
ただし、健康状態は人によって異なるので、個別の状態に応じた運動が必要です。運動内容によっては、健康障害を引き起こす可能性があります。特に、すでに何らかの疾患を持っている場合は注意が必要です。運動に関する知識に加えて、医療の専門知識が求められます。治療の一環として運動を取り入れる場合、医師による事前のメディカルチェックが望まれます。しかし、すべてのケースに対応するのは難しいのが実情です。人々が安全に運動を行うためには、専門知識を持つ医療従事者による健康障害予防や、万が一の事態における処置が求められます。
健康運動看護師とは
看護師は、健康状態のアセスメントや病態の管理を行い状態を観察しつつ、緊急時には即座に対応する能力を備えていますが、生活習慣病クリニックにおいては運動不足による身体への悪影響についても理解しておく必要があります。しかし、看護師資格を取得する際の教育では運動や運動指導に関する内容をほとんど学びません。運動に関する知識があれば、理学療法士や作業療法士など、運動指導に関わる職種との連携をより密接に行えます。
そこで、運動に関する知識を備えた看護師を育成するために、2010年より日本健康運動看護学会が設立した資格が「健康運動看護師」です。またの名を「健康スポーツナース」と呼びます。人間は死ぬまで身体活動を続けています。健康を維持するための運動は痛みや怪我によって妨げられるべきではありません。無理のない範囲で運動を続けていくことが大切です。生活習慣病患者が増えている昨今において、健康運動看護師は重要な役割を担います。
こちらが日本健康運動看護学会の公式サイトです。学会の取り組みや、過去の活動を確認できます。 日本健康運動看護学会
資格内容
日本健康運動看護学会では、「人は運動以外では発達し得ない生体機能がある」「人は運動でしか負わない生体リスクがある」の2つを基本理念として、運動を健康レベルの向上に活かす手段や具体的な方法論を学ぶ、実習を含めた20時間の養成講座を開講しています。その後、試験に合格した者を健康運動看護師として認定しています。2015年の段階で約100名の看護師が健康運動看護師として認定されています。